ドネルケバブ
ケバブと言えば、出店の食べ物でもあると思うけれど、その出店がある最たるイベントであろう、祭りには小学高学年位から全く行かなくなった。
中二病的なものもあったと思うけれど、それ以上の問題として。
小学生の時は月の小遣いが500円で、それで祭りに行くと、そのひと月分の小遣いが一瞬で消えてしまう、という事に嫌気が差した事が主な理由だった。
花火大会に、自分と祖父母だけ行かずに、一人でゲームしてたり、テレビを見ていたりした記憶もある。
そんな事で、屋台の食い物の一つでもあるケバブとは、大学になるまで余り会わなかった。
そして、好きになったのが大学の時。
それ以前にも食べた事は一度や二度程度はあっただろうけれど、そんな事で正直記憶にない。
大学の、多分一年の時の学祭で、スポーツ系の部活が出店やっている以外に他方からも出店として色々来ていて、その中にケバブの店があった。
そこで、昼飯として1つ500円程のケバブを食べて、好きになったのだと思う。
実家への帰り道で、都会に立ち寄ったりするけど、そこでもケバブ屋を見つけたら食べたり、と。
大学生の昼飯としては量は少ないけれど、500円払うだけの価値は、自分には十分あった。
特殊なバンズに入っているのは、主にキャベツとそのケバブを作る時の最重要なものでもあろう、専用の機器でローストされた鶏肉か牛肉辺り。
それに種類を選べるソースが掛かって、後、アクセントとしてトマトとかが入ったり。
そんな、具材だけなら普通のハンバーガーと大して変わらないのに、けれどハンバーガーとは全く違う美味しさになる。
理由として自分の頭の中で真先に浮かんだのは、肉がハンバーグであるかローストしたものであるか、ではなくて、ソースだった。自分は良く辛めのソースを頼むけれど、辛めのソースは普通のハンバーガーには無いものだから。
辛めのソースで食べると、食後に口がややヒリヒリするような感触もあるのだけれども、それもまた良い。
他にもヨーグルトソースとか、アメリカ発祥とはソースの種類は結構趣が異なる。
ハンバーガーは、そもそもソースが掛かってないのがデフォルトな気がするし、掛かっていたとしても、どうも甘めのソースが主な気がする。
勿論、肉とかバンズとか、入ってる野菜の種類とか、数えたらキリが無くて、肉や野菜をパンで挟んだもの、という定義以外は殆ど違うようなものなんだけれども、自分として第一はそれな気がした。
後から思ったけど、その理由として、受け取る時にバンズにキャベツやら肉やらを挟んだ後に、最後にソースを掛けられて手渡されるのが印象に残っているから、というのもあるかもしれない。
今、新入社員として都会で働いているけれど、職場の近くにケバブの店がある。
狭い場所で、店頭で色んな種類のケバブを売っている。
新入社員だから余り金には余裕は無いけれど、週に一度、そこでちょっとの贅沢、昼休みにケバブを食べる事がもう、入社してから2週間程で習慣になりつつある。
一番安いチキンのケバブ、でもサイズは流石にMを頼む。そして、お金を払ってソースを選ぶ。お勧めのヨーグルトソースだったり、辛めのソースをだったり。それからちょっとの時間待ち、手渡されて、店頭のベンチに座る。
バンズ、キャベツ、肉、バンズ、をむちっと食い千切って、もしゃもしゃと食べる。
数分で食べ終えてしまうけど、口の中には結構な満足感が残っている。辛いソースを頼んだ時は、唇にじんわりとした熱さも付いて来る。
満足して、でも、やっぱり昼の後からずっと何も食べないで、腹を空かさないで働く自信は無いから、ちょっとコンビニに寄ってもうちょっとお金を叩く。